セミリタイアとは?メリットやデメリット、実現させるために必要なお金や条件について解説

サラリーマンや仕事をしている人にとっての一つの夢は、仕事で成功を収め、若くして、仕事を引退して、自分の好きな場所で、好きな時間を好きなことをして過ごす、といったことではないでしょうか。けっして大金持ちにならなくても、困らない程度に心満たされて、健康的に楽しく過ごせれば、幸せと思える生き方もあると思います。そんな憧れの生活形態の一つとして、セミリタイアがあります。

しかし、セミリタイアを実現するためには、いろいろな準備が必要です。一番わかりやすいのは、お金です。お金が無尽蔵にあれば、何も困らないでしょうが、そうでなければ、まずは貯めるところからスタートです。それ以外にも、必要な条件がありますので、こちらで解説させていただき、セミリタイアとは、どのようなものなのか、イメージをしっかり持っていただきたいと思います。

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目次

セミリタイアとは

「セミリタイア」とは、「アーリーリタイア」や「早期リタイア」の一種で、あらかじめある程度の貯蓄を確保した上で、定年退職を待たずにメインの仕事、会社を退職し、アルバイト、派遣社員やフリーランスなどで、ある一定程度の仕事して収入を確保しつつ、自分の自由な時間を増やすライフスタイルのことです。貯蓄や資産の規模はその生活が成り立つだけあればよく、自給自足に近い生活も立派な「セミリタイア」と言えます。

一方、「完全リタイア」の場合、仕事としての収入がないため、資産運用による収入がなければ、貯蓄を切り崩すだけの生活で、あらかじめ、大きな資産が必要になり、容易にできるものではありません。一方で「セミリタイア」の場合は、退職後も一定程度の収入を確保しているので、「完全リタイア」ほどの大きな貯蓄、資産は必要ではないため、比較的取り組みやすいものと言えます。以前に比べれば、収入を確保する手段として、インターネットを活用した在宅での業務や販売業など、選択肢も広がっています。また、収入が以前に比べて減る分を時間的に無理のない範囲で補うために、貯蓄の中から、投資、金融資産の運用を行うのも一つの方法です。ただし、退職して自由な時間を確保することが目的の「セミリタイア」ですから、どのような働き方、収入確保の手段を選んでも、自分の時間、家族との時間、ゆとりを大事にする点は変わらないところです。

アーリーリタイアとの違い

「セミリタイア」に似た言葉で、「アーリーリタイア」や「早期リタイア」があります。「アーリーリタイア」とは、会社などメインの仕事から早期に、定年退職の年齢を待たずに退職することです。年齢で言えば、20代から50代くらい,で、早期優遇退職制度などの条件に関係なく退職することです。一方で、「早期リタイア」は、早期優遇退職制度を利用し、定年前に退職金を受け取り、退職することです。

「アーリーリタイア」と「早期リタイア」は、退職後の生活方法により、さらに2種類に分かれます。一つめは、退職後に全く仕事をせず、貯蓄と資産のみで生活していく「完全リタイア」です。そして2つめが「セミリタイア」になります。時間にゆとりを持ちながら、以前の退職した仕事ほどではないが、ある程度の収入を得る行為をしていくということです。

FIREの定義

「セミリタイア」に関連して、「FIRE」という言葉があります。「FIRE」とは「Financial Independence, Retire Early」の略で、経済的自立と早期リタイアを意味します。早期リタイアをして、それまでに貯めた資金を運用して得られる運用益で生活費をまかなうものです。

定年前に退職する点では、「FIRE」と「セミリタイア」は同じですが、「セミリタイア」では、用意した貯蓄を取り崩しながら生活するのに対し、「FIRE」では、資金の元本を減らさずに運用し、運用益を生活費に充てて、老後の生活に備えるところに違いがあります。

また、「FIRE」には、フルFIREとサイドFIREの2種類があります。フルFIREとは、十分な資産を保有し、仕事の収入に頼らず、資産運用の運用益による収入のみで生活をすることです。一方、サイドFIREとは、資産運用による運用益による収入と仕事の収入の両方で生活することです。その場合でも、生活費をまかなうための仕事というよりは、好きなことを好きな時に行う仕事、趣味や楽しみの延長の仕事となっています。

「FIRE」では、それなりの大きな資金を元に運用する必要があるため、投資をするための元手が必要なことはもちろんのこと、資産運用の知識も相応に必要になります。

セミリタイアが注目されている背景

セミリタイアが注目されている背景としては、日本の社会情勢の変化に拠るところが大きいと考えられます。その中でも主に次の3点が考えられます。

・日本の賃金の低迷

・終身雇用制度の崩壊

・働き方の多様化

それぞれについて、理解してまいりましょう。

日本の賃金の低迷

1990年代のバブル崩壊後の日本では、経済の低迷を背景に賃金が上昇した実感がないのが正直なところだろうと思います。OECD(経済協力開発機構)のデータでも、1990年から2021年の31年間で見ると、日本の2021年の平均年収は39,711ドルで、6%の増加しかしていません。同じ期間でアメリカの平均年収は53.1%増加し、韓国でも94%増加し、OECD平均でも36%増加していることを考えると、日本の賃金増加がいかに低迷しているかがわかります。こうした状況で会社の給料だけに頼らない、自分で資産形成を志向する人が増えていると考えられます。

終身雇用制度の崩壊

終身雇用制度は経済成長を前提にしたものであったため、バブル崩壊後の日本では、その維持が難しくなりました。国内での競争、世界との競争を勝ち抜くために、成果と効率を求められるようになりました。それは今までの年功序列を前提にした、会社全体の底上げではなく、早期に成果を求められ、成果を出せる人材がいれば、中途採用も含めて、より手厚く、成果を出せない人に給料を上げる余裕はない、となります。成果を出せなければ、会社にいられる保証もない、となると、終身雇用は難しくなります。それがなければ、会社への帰属意識も薄くなり、どこでも給料を出してくれるところで働ければいい、会社には頼れない、と考え方も変わり、セミリタイアを一つの選択肢と考えられる風潮になってきたものと考えられます。

働き方の多様化

日本でもコロナの影響があり、特に働き方には大きな影響を与えました。出社を前提にした会社生活が、社員同士で顔を合わせない、お客様とも面前で会わない、強制的なリモートワークが各所で進められました。その結果、やればできる、家でも仕事ができる、田舎にいても仕事ができる、ということがわかり、コロナが収束するにつれて、今後、どのように仕事を続けていくのか、各人が考えるようになりました。また、終身雇用の終焉もあり、会社が副業を推奨するようになってきました。生活費の補填、貯蓄の増加を目指し、本業以外のアルバイト、業務委託などの副業を考えるようになる中で、どのような生活スタイルで、仕事をしていくか、将来の生活、収入と自由な時間のバランスも考える、その中の選択肢としてセミリタイアを考える、という流れが考えられます。

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セミリタイアのメリット

セミリタイアのメリットにはさまざまありますが、次の3点にまとめて考えられます。

・社会との接点を保ったまま、元気なうちに自由な時間が持てる

・仕事上の人間関係から解放される

・適度なペースで仕事に取り組める

それぞれについて、確認してまいりましょう。

社会との接点を保ったまま、元気なうちに自由な時間が持てる

セミリタイアの最大のメリットは、若くて元気なうちに自由な時間を持てることです。定年退職をするころには、年齢も60歳、最近は定年延長で65歳まで働き続けることも多いと思います。いざ、好きなことを好きなだけやりたいと思っても、体が言うことを聞かない、積年の疲労で、肩こり、腰痛に、視力も落ち、筋力、体力の衰えを実感することも多いと思います。持病を抱えることも多くなります。そんなときに新しい生活を始めるのは、かえってできないことに対する不自由を感じ、精神的にストレスになります。しかしセミリタイアであれば、若くて体力のある50代、40代、早ければ20代のうちに自由な時間が持てるので、さまざまなことにチャレンジできます。農作業や旅行もできますし、一人の時間を楽しむ、いろいろな人と趣味を共有する、好きな場所で好きなことを始める、新しいことを始められます。また会社員生活で犠牲になっていた家族との時間を作ることもできます。

セミリタイアでは、仕事を全く辞めてしまうわけではないので、ある程度、社会との接点を維持することができます。また仕事に限らず、地域活動やボランティアなどをその地域の人々との交流も社会との接点です。そうした社会的接点において、客観的、合理的な側面、世の中がどうなっているかを意識する事象も多く、自由で好きな生活をする上でも、バランス感覚のためにも、重要になります。

仕事上の人間関係から解放される

セミリタイアのもう一つのメリットは、仕事上の人間関係、そのストレスから解放される、ことです。会社員であれば、最低1日8時間、平日毎日に加え、残業や土日の持ち帰りの仕事をする拘束された長時間で、会社としての売上・利益目標の下、社長、上司、部下、同僚、お客様、取引先などとの人間関係に縛られながら生活しています。自分の好きなようには仕事をできない、好きな相手もいれば、嫌いな相手もいて、人間関係を選べませんし、その人たちからの有言無言のプレッシャーもあり、自分らしい時間の過ごし方ができないことが多いです。セミリタイアをすれば、今までのメインの仕事に比べれば、自分のペースで仕事ができ、大きな責任を感じることなく、それでいて無理のない範囲で社会と関係は維持できます。また、苦手な人と関わる必要性も少ないので、人間関係のストレスを大きく減らすことができます。

適度なペースで仕事に取り組める

セミリタイアのメリットとして、以前のメインの仕事に比べて適度なペースで仕事ができることも挙げられます。仕事自体が最低限の労働、成果、責任を求められるもので、ストレスのない仕事は、ほぼないと思いますが、それでも、自分で時間や仕事量など調節して選んだ仕事であれば、大きくストレスは減るものと思います。正社員で働くよりは、パート、アルバイトのような形態で働くほうが、求められる責任は少なくなります。

セミリタイアのデメリット

一方で、セミリタイアのデメリットもさまざまあります。人によっては、デメリットをデメリットと感じない、感じる必要がない場合もありますし、デメリットをリスクと考え、準備次第、対応次第では回避できる場合もあります。しかし、いいことばかりではない、夢ばかり見ていては、落とし穴もある、後悔しても後に戻れない、ということで、以下のようなデメリットを確認し、セミリタイアの全体像を理解いただきたいと思います。

・資金不足、足りなくて苦しい、生活水準が下がる

・社会的信用が下がる

・職探し、再就職が難しい

・社会とのつながり減少

・明確な目標がないとやりがいを感じない

・保障や福利厚生がなくなる

・健康面に注意が必要

資金不足、足りなくて苦しい、生活水準が下がる

そもそもセミリタイアするときには、メインの仕事を辞めて、少ない時間の仕事に切り替えるわけですから、それなりの貯蓄、生活資金を用意していることでしょう。当然、以前に比べれば、収入は大きく減ることになりますから、生活水準は下がります。今まで買っていたものも買えないし、贅沢はできないかもしれません。しかし実際にセミリタイアの生活を始めると、想定していた以上に生活費、出費がかかることもあります。引っ越した先の新居のリフォームが必要になったり、光熱水費が意外と高かったり、急な病気とケガで、治療費がかかり、そのせいで仕事ができなくて収入が途絶えたり、と想定外のことはいろいろおき得ます。それにより、将来のための貯蓄が早く目減りします。そうなれば、想定した生活水準を落とさざるを得ないかもしれません。また、その減少分を補うために、仕事を増やしたり、フルタイムの仕事をする必要が出てくるかもしれません。そうなると、新しい仕事が以前のメインの仕事より収入条件がいいことは稀なので、セミリタイアしたことを後悔することになりかねません。想定外の状況にも対応できる資金を用意し、生活水準が下がっても大丈夫な心構えが必要です。

社会的信用が下がる

セミリタイアをすると、社会的信用が下がります。具体的には、賃貸や借入をする場合に審査が簡単に通らない、否認されるようなことが起きる、ことです。会社員の時には。住宅ローンやマンションの賃貸契約、クレジットカードの発行の審査では簡単に通っていたのに、セミリタイアした途端に審査が簡単には通らない、ことが多いのです。セミリタイアで、仕事をアルバイトでしていれば、過去に立派な会社員であっても、それなりの貯蓄を持っていても、現在のアルバイトの信用力しかないという評価を受けるからです。そのような不自由さはセミリタイアのデメリットの一つです。

職探し、再就職が難しい

セミリタイアをして、メインの仕事を辞めると、その後の仕事は自分のペースの仕事になりますから、パート、アルバイトのような仕事であれば、正社員の転職向けの履歴書の書き方では、ほぼ無職の扱いになります。セミリタイアを始めて、うまくいかなければ、再就職しようと思っても、履歴書に空白の期間ができるので、かなり難しいものになります。再就職を考えつつのセミリタイアをするのであれば、就職の需要のある専門的な知識や資格、スキルを前もって獲得しておくことが肝要です。

社会とのつながり減少

セミリタイアをすることで、ストレスになる仕事などの人間関係は減らしたいと思うものの、新たな生活をする場所において、必要以上に社会的なつながりが減少することがあります。一人で静かに生活を送りたい人はいいのですが、周囲の新たな人間関係になじめなかったり、自分だけの時間が長すぎて、好きなこと、趣味などを共有する人が身の回りにいないなどとなると、孤独感や疎外感を覚え、精神的に辛くなり、セミリタイア生活が続けられなくなる可能性があります。

明確な目標がないとやりがいを感じない

セミリタイアをすると、自分が自由使える時間が以前より増えます。しかし自由な時間がいっぱいあっても、その時間で何をするのか、したいのか、やりたいことや目標が明確でないと、その時間に何をしていたのか、達成感や満足感なく過ごすことになり、やりがい、生きがいのない、生活になってしまいます。何のためにセミリタイアしたいのか、辛い状況から逃れるのではなく、何をしたいから、という前向きなイメージが必要です。

保障や福利厚生がなくなる

セミリタイアをすると、会社員であった人であれば、厚生年金を途中で辞めることになるため、将来の老後の年金収入が減ることになります。また、それ以外にも、病気やケガのための見舞金など、健康保険や年金、その他さまざまな保障や福利厚生のメニューを受けられなくなります。そのような資金に関わるデメリットを考慮して、セミリタイアの必要資金を準備する必要があります。

健康面に注意が必要

セミリタイアをすると、会社員の時のように毎日規則正しい時間の生活が必要ではないため、時間的な自由さが不規則な生活を生むこともあります。人によっては、通勤頻度も大きく減るため、運動不足になることもあるでしょう。会社からの強制の健康診断もなくなるため、自分で健康診断を受ける必要があります。収入が少なくなる、すべては自己責任という前提のセミリタイアでは、想定外の出費を抑える意味でも、自分自身の健康には日ごろから気を使う必要があります。

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セミリタイアを実現させるために必要なお金、資産や条件

セミリタイアを実現させるためには、お金、資産やある条件が必要になってきます。メインの仕事、会社を退職する前にそれなりの貯蓄を準備しておかなくてはなりません。政府統計ポータルサイト(e-Stat)の2021年度のデータによると、勤労者世帯の平均消費支出額は単身世帯で月額171,816円、2人世帯で282,807円、3人世帯で305,731円、4人世帯では328,999円となっています。つまり、セミリタイアした後に毎月、それらの月額消費支出額が生活に必要である、ということになります。これらはあくまで統計上の平均値であり、生活環境、生活する場所、個人により、生活に必要なものやその量も変わりますので、一律には語れませんが、一つの目安として、今後必要になる金額をイメージしましょう。

まずは、セミリタイアして、90歳まで生きる想定で必要な生活費総額をシミュレーションしてみましょう。これは、厚生省の2021年の簡易生命表での日本人女性の平均寿命87.57歳を考慮したものです。1カ月の生活費は老後の夫婦生活を考慮して、2人世帯の平均消費支出額282,807円を使用し、単位28.3万円として計算します。

一例として、45歳でセミリタイアした場合の計算をします。

28.3万円×12カ月×45年間(90歳 - 45歳)=1億5,282万円となります。

35歳と55歳も同様に計算します。

セミリタイアする年齢 /セミリタイア後に必要な生活費

35歳 / 1億8,678万円

45歳 / 1億5,282万円

55歳 /1億1,886万円

これだけ見ると、大変大きな金額になりますが、セミリタイアする時までに全額を用意しないといけないというわけではありません。住む場所やライフスタイルによっても生活費は変わりますし、セミリタイア後に自分のペースで働くことで、生活費を一部でも稼ぐことで埋め合わせる分、必要な資金、貯蓄額は変わってきます。

年代ごとでの必要な金額をイメージする見方の他に、どういう場所でセミリタイアの生活をするのか、で必要な金額、または資産が必要なのか、のイメージも変わってきます。順に解説していきます。

30代に必要なお金

30代でセミリタイアする場合に、セミリタイア後の生活費としていくら貯蓄を用意しておくべきか、確認しましょう。毎月生活費として28.3万円かかる想定で、一部をセミリタイア後の仕事などによる収入、毎月3万円、5万円、10万円、15万円、20万円により賄う想定です。30代の中央の35歳でセミリタイアし、90歳まで生きるとします。

毎月3万円ずつの収入を得る場合は、以下のように計算します。

(毎月の生活費-毎月の収入)×12カ月×(90歳-35歳)

=(28.3万円-3万円)×12カ月×55年

=1億6,698万円

つまり、セミリタイア後に毎月3万円ずつ収入がある場合は、セミリタイア時に1億6,698万円の貯蓄を用意しておく必要があるということになります。

以下、同様に計算すると月額収入ごとにセミリタイア時の必要貯蓄額がわかります。

セミリタイア後の月額収入 /セミリタイア前に貯蓄すべき金額

3万円 /1億6,698万円

5万円 /1億5,378万円

10万円  /1億2,078万円

15万円  /8,778万円

20万円 /5,478万円

セミリタイア後に得る収入によって、貯蓄しておくべき金額が大きく異なります。

40代に必要なお金

40代でセミリタイアする場合に必要な貯蓄額を確認しましょう。

ここでは、40代の中央の45歳でセミリタイアし、90歳まで生きるとします。35歳のケースと同様に、セミリタイア後の仕事などによる収入、毎月3万円、5万円、10万円、15万円、20万円により賄う想定です。

セミリタイア後の月額収入 /セミリタイア前に貯蓄すべき金額

3万円 /1億3,662万円

5万円 /1億2,582万円

10万円  /9,882万円

15万円  /7,182万円

20万円 /4,482万円

毎月10万円ずつの収入を得る場合で35歳にセミリタイアする場合と比較すると、2,196万円貯蓄が少なくても済むことが分かります。

50代に必要なお金

50代でセミリタイアする場合に必要な貯蓄額を確認しましょう。

同様に50代の中央の55歳でセミリタイアし、90歳まで生きるとします。

セミリタイア後の月額収入 /セミリタイア前に貯蓄すべき金額

3万円 /1億0,626万円

5万円 /9,786万円

10万円  /7,686万円

15万円  /5,586万円

20万円 /3,486万円

55歳までになると、残りの人生の年数も短くなり、その分、必要な生活費が少なくなってきます。

都心に住む場合

セミリタイアして都心で暮らす場合では、それなりに大きな貯蓄が必要となります。というのも、都心で暮らすには、生活費は高くなります。その主な要因は、住居費です。地価が高いため、住居を購入しても、賃貸で借りたとしても、固定資産税を含め、住居費は高くなります。セミリタイアをするときに一戸建てやマンションを所有していて、住宅ローンがある状態では、自由な時間との引き換えに収入ダウンを想定すると、今までのメインの仕事を辞めるのは相当覚悟が必要です。マンションであれば、管理費や修繕積立金も住み続ける限り、必要になります。住居費以外にも、都心は物価も高めなので、何をするにも多めにお金がかかると想定すべきでしょう。

またセミリタイア後の新たな仕事については、都心であれば、比較的見つかりやすいと思いますが、仕事が決まらない期間ができるのはよくあることです。そうした収入が入らない期間も織り込んだ想定をしておくことも必要です。

郊外に住む場合

都心から少し離れた郊外で暮らす場合でも、それなりに大きな貯蓄が必要です。都心ほど、地価が高くはありませんが、田舎ほど安いことはないので、それなりに住居費はかかります。セミリタイア後の収入ダウンに備え、住居費を安心して支払い、住み続けられる貯蓄が必要です。

また、セミリタイア後にどこで仕事をするのか、都心であれば、仕事にありつきやすいですが、時間をかけて、郊外から都心へ仕事に行くようであれば、自由な時間も減り、セミリタイアの意味がなくなってしまうので、収入確保と自由な時間のバランスは考慮すべきです。仕事だけでなく、プライベートの用事、趣味に関連して、都心に頻繁に出るようであれば、同じような話になりますし、時間だけでなく、交通費もかかります。郊外での生活の目的、目指す生活をよく考えて、それを維持できるよう、貯蓄を準備することが必要です。

田舎に住む場合

セミリタイアして田舎で暮らす場合は、そもそもお金のかかる生活は目指していないと思います。自然豊かな環境で、それほど多くの人と関わることは求めず、自然環境に合った、自分の好きなことをのんびりと楽しむ、ということが多いのではないでしょうか。住居についても、空き家、古家などを格安で借りる、または購入して、その維持にそれほどお金をかけずに住み続ける、など、安く済ませることが多いでしょうし、また都心や郊外のように、外食の店もあまりないので、地元で手に入る野菜を中心にした自炊の食生活となり、生活費は都心や郊外の生活に比べれば、安く済むと思います。

しかし、仕事を探すとなると、求める収入が多ければ、なかなか見つからない、少ない収入を想定せざるを得ないということもあります。また、医療費や光熱水費、住民税などは田舎だから安いというものでもないので、少ない収入を前提に生活費は現地の状況をよく確認して見積もり、必要な貯蓄額を準備する必要があります。

海外に住む場合

セミリタイアをして海外に移住するケースもあります。東南アジアなどは、日本から比較的近く、気候が温暖で物価も安く、ある程度の貯蓄があれば悠々自適な生活を送れるということで、日本人に人気であったりします。海外に移住するということは、その国のルールに全面的に従う、ということですから、入国、移住の手続き、住居の確保、日本からのお金のやりとり、病気になった場合の対応、刑事のルール、生活習慣など、その国の状況を事前にきちんと確認する必要があります。また、移住先で仕事をするとなると、現地の人々や言葉、生活を理解していないと、収入を得ることはなかなか難しいかもしれません。それらを踏まえて、必要な生活費、必要な貯蓄額を準備する必要があります。

また、海外への移住で一つ難しいのが、日本にある資産、住宅があれば、それをどうするか、です。移住というと、日本のすべてのものを精算して、海外に住むイメージですが、移住先で思い通りの生活ができずに、日本に帰りたい、そうでなくても定期的に日本に帰りたいと思うことがあるかもしれません。特に病気になってしまい、移住先の生活を諦め、日本で治療を受けたいということもあります。そうした場合に余裕があれば、維持してくれる人がいれば、日本の住宅は残しておく、というのも一つの選択肢です。そうした場合の維持管理、税金など、やはり確認が必要です。

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セミリタイアを実現させるためのポイント

セミリタイアを実現させるためのポイントとしては、大きくは2つの観点があります。1つめは、セミリタイアをしたら、具体的にどんな生活をするのか、その生活にはいくらの生活費がかかるのか、把握すること、2つめは、その必要な資金をいかに確保するかを考え、準備することです。

必要な生活費といっても、想定外のことも起こり得るので、ある程度の余裕資金も確保する必要があります。また、今のままセミリタイアまで生活を続けて、その必要な資金を確保できるのか、貯蓄を作ることができるのか、考える必要があります。まずは節約か、収入アップを図って、貯蓄を増やす、ある程度まとまれば、投資でさらに加速度的に増やす方法も必要かもしれません。

以下のようなポイントについて、具体的に考えてみたいと思います。

・具体的な生活のイメージを持ち、かかる生活費をきちんと把握する

・貯蓄だけでなく、投資も活用する(株式投資、不動産投資)

・リスク、けがや病気などにも備えた貯蓄

・十分な資金を用意する

・今後の人生で受け取れるお金を確認する

具体的な生活のイメージを持ち、かかる生活費をきちんと把握する

まず、大事なことは、セミリタイア後の生活がどのようなものになるのか、具体的な生活のイメージを持ち、その生活費がいくらになるのか、把握することです。もし、今の生活を継続するのであれば、来月の生活費、今後1年間の生活費がいくらになるのか、把握できると思います。セミリタイアして、どこで生活するのか、家賃はいくらになるのか、食費、光熱水費はいくらになるのか、今までかかっていた費用に加え、これからの生活で新たに発生する費用は何か、新しくどんなことを始めるのか、などを考えていくことです。今後かかる生活費が明確になれば、それをまかなうための貯蓄がいくら必要で、セミリタイア後の新たな仕事でどれだけ収入が必要なのか、確認できます。

そのときに、それほど多くない貯蓄額、セミリタイアして、ダウンした新たな仕事の収入に比較して、考えていた生活費が多いので、生活費を切り詰めて、バランスをとるのは、あまり好ましくありません。実際にセミリタイア生活を始めると、やはり生活費はもっと必要であった、となることも多く、資金不足のもとです。また、そもそも実現したい生活があって始めるのに、実現が難しい、切り詰めた生活費を想定するのは、本末転倒ですし、後悔することになります。あくまで実現したい生活のための生活費を見積もりましょう。

貯蓄だけでなく、投資も活用する(株式投資、不動産投資)

セミリタイアするためには、相応の貯蓄、資金が必要ですが、そのためには、資産運用、投資を活用するのも一つの方法です。大きな貯蓄を作るためには、よほどの高収入の仕事をしないといけない、または長期に渡って、地道に貯蓄を積み上げていく、貯めた頃には60歳では、セミリタイアの旬を過ぎてしまいます。投資はお金に働いてもらう、運用することで利益を得る方法です。元本割れのリスクもありますが、運用に成功すれば、貯蓄よりも早く、多く必要な資金を確保することができます。

一つの投資手段として、株式投資があります。企業の発行する株式が株式市場で流通しており、需要と供給によって、日々価格が変動しています。株式を安く購入して、購入金額より高く売れれば、その分、キャピタルゲインとして利益を得られます。一方で、購入した株式を保有することで、通常、定期的に配当金を得られます。そうしたインカムゲインを安定的に得ることを期待して、株式投資をすることでも、資金を増やすことができます。ただし、株式の価格が購入金額より下がることで、元本割れのリスクもありますので、きちんと学習、研究する必要があります。

投資手段としてもう一つあげられるのは、不動産投資です。不動産を購入して保有し、貸し出すことで利益を得ます。通常は長年に渡って、賃料収入を得てやっと後半に利益が出るような、長期スパンの話になりますので、途中で保有する不動産物件を価値が上がった時点で売却します。そこで売却益を出し、それを元手に新たな投資用不動産を購入します。それを繰り返し、物件数を増やし、収入総額を増やしていきます。賃貸が前提ですから、空室、賃料が入らない期間ができるリスク、物件購入後に古くなっていくので、想定以上に改修費用がかさむなどのリスクもありますので、空室対策を積極的に行う、魅力ある物件にするための日々の研究し、効率的に改修投資するなど、努力が必要になります。

リスク、けがや病気などにも備えた貯蓄

セミリタイアをするタイミングでは、そのときの自分、家族の生活をイメージして、必要な生活費、収入をイメージしますが、実際には、ライフステージは変わっていきます。自分自身が病気やケガで仕事ができない、親の介護で、通い詰めることになる、または近くで介護する、などで仕事できる時間が減り、収入は減る、一方介護費用、病院代がかかる、など、通常のシミュレーションでは想定しないケースも出てくるおそれがあります。そうした万が一で可能性として考えられる状況に対してシミュレーションしておく必要があります。

十分な資金を用意する

セミリタイアをすることの目的は、自分の自由な時間を作ることですから、今までのメインの仕事を辞めて、次の仕事は少ない時間でそれなりの収入になるため、そこでの収入には期待できません。いかにセミリタイア時点でより多くの資金を持っておくか、が大事になります。貯蓄した資金を元に資産運用することも一つですが、その前に貯蓄を増やすことを考えることも大切です。

セミリタイアを目指して今の収入のままだとしたら、今の生活費を切り詰める、節約するのも一つの方法です。住居費や保険料、携帯電話料金などの固定費用の削減など、できるところから実現しましょう。今の生活が節約できて、不自由なく暮らせれば、セミリタイア後の生活も継続して楽になります。

そもそも、貯蓄を増やすには、今の収入を増やすことが一番です。その手段としては、転職して、収入の高い仕事に就く、スキルアップして、評価されて収入を増やす、副業をすることで収入を増やす、などです。

今後の人生で受け取れるお金を確認する

セミリタイアで考慮すべき、収入としては、元手となる貯蓄、セミリタイア後の仕事の収入だけではなく、次のようなものがあります。

<早期優遇退職制度で受け取れる退職金>

最近は、大企業を中心に早期退職を募集するケースが増えています。以前は50歳以上の定年に近い年齢層がその対象の中心でしたが、最近は、40代も対象になるケースもあり、対象者が若くなってきています。早期退職に応募した場合には、通常の退職金に加え、割増退職金を受け取れることが一般的です。大きい金額になることも多いので、制度のある会社に勤めている場合には、事前に確認しましょう。

<年金>

老後、通常65歳になると公的年金を受け取ることになります。それまでの働き方の違いにより、厚生年金なのか、国民年金なのか、異なります。その金額は、それまでに納めた金額、元となる収入によっても、金額は異なります。またセミリタイアすると、その後の収入ダウンにより、受け取る年金額が、当初の見込みより下がることになります。個人個人により条件が異なりますので、年金事務所などにきちんと確認しましょう。

<親から相続されるお金>

人によっては、お金や資産を親から相続することもあります。相応の金融資産、不動産などを親が持っている場合には、ある程度、その相続される分を考慮に入れることもできます。ただし、なかなかタイミングを決められるものではないですし、資産だけでなく、負債を抱えていて相続資産自体が認識どおりでなかった、相続人の間で揉めることなく配分できるのか、想定外の相続人が現れたりしないか、など、想定通りにならないこともありますので、過度な期待をしないことが賢明です。

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セミリタイア後の生活を長く安定させるためのポイント

セミリタイアを一時の勢いで始めることはできるかもしれません。ある程度の想定と資金で始めたセミリタイアも、人生の最後まで思い描いたと通りに続けられるかどうかはなかなか難しいところです。なぜなら、想定していなかったことが起こり得るからです。

ここでは、セミリタイア後の生活を長く安定させるためのポイントとして、次のような点について考えていきたいと思います。

・最初にどういう家族構成でどういう生活をするのか、具体的に考えておくこと

・セミリタイア前に収入源を増やしておく

・アルバイトなどの生活費を安定して得られる手段を用意する

・貯蓄を生かして、運用することにより、収入を増やす

・どんな不可抗力があるか、わからないので、ある程度、いくつかの生活シミュレーションを持っておく

最初にどういう家族構成でどういう生活をするのか、具体的に考えておくこと

セミリタイア後の生活を具体的にイメージし、生活費を見積もる場合に、ライフステージ、家族の生活も含めて、年を取りながら、どのような生活をしていくのか、どういうことが想定されるのか、きちんと考えていくことが必要です。

セミリタイア前に収入源を増やしておく

セミリタイアをすると決めたら、収入源を増やすことも重要です。セミリタイアまでに貯蓄、資金を増やすためのことはもちろんのこと、セミリタイア後の安定した収入の確保のためにも、仕事だけでない、収入を得る手段を確立しておくことが必要です。資産運用やネットビジネスなど副業のような形でも進めることで、セミリタイア後の生活の不安が軽減されるでしょう。

アルバイトなどの生活費を安定して得られる手段を用意する

セミリタイア後に安定した生活のためには、パート、アルバイトなどの安定収入を確保することが必要です。

貯蓄を生かして、運用することにより、収入を増やす

セミリタイア後に安定した生活をするのにアルバイトなどの安定収入を補完する意味で、貯蓄の切り崩しだけでなく、貯蓄を生かした資産運用、投資も有用です。ただし、ハイリスクハイリターンでは、資産が大きく減るリスクもあり、そのような方法を選ぶべきではありません。そこまでハイリスクではない投資の手段としては、株式投資や不動産投資、FXなどがあります。FX (Foreign Exchange)とは、「外国為替証拠金取引」のことで、異なる通貨を売買した際に生じる差額によって利益を得る取引のことをいいます。平日の24時間いつでも取引ができるため、忙しい会社員でも取り組みやすい、またレバレッジをかけて、、証拠金としてFX会社に預けた金額以上にFX取引ができる仕組みがあり、少ない金額で大きな取引ができるメリットもあります。

どんな不可抗力があるか、わからないので、ある程度、いくつかの生活シミュレーションを持っておく

セミリタイアをするということは、今までの生活を大きく変えることになりますから、長く安定的に続けるためには、こんなはずではなかった、という想定外の状況を極力減らすことが重要です。自分自身だけでなく、家族や周囲の環境、天変地異による問題など、想定の範囲を広げて、そんなことになったら、どうやって生活していくのだろうか、とシミュレーションを持っておくことが大切です。

まとめ

セミリタイアは、自分らしい生活を送りたい人には大変魅力的です。ただし一方で、収入が大幅に減るリスク、想定以上に出費がかかるリスク、思い描いた生活ができないリスクがあります。自分の意志で今までの生活を大きく変える選択をするわけですから、絶対に後悔したくはありません。そのためにもここで述べましたところを参考にして、十分な貯蓄、資産を準備し、想定されるリスクに備えて、さまざまなシミュレーションをして準備しておくことが重要です。

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    弁護士土屋勝裕
    弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所、ペンシルバニア大学ウォートン校留学、上海市大成律師事務所執務などを経て事務所設立。400件程度のM&Aに関与。米国トランプ大統領の娘イヴァンカさんと同級生。現在、M&A業務・M&A法務・M&A裁判・事業承継トラブル・少数株主トラブル・株主間会社紛争・取締役強制退任・役員退職慰労金トラブル・事業再生・企業再建に主として対応
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