赤字会社・債務超過会社のM&A売却!

赤字会社や債務超過会社をM&Aで買収する場合は、どのような点を留意する必要があるでしょうか。

まず、赤字会社や債務超過会社からその保有する事業を事業譲渡(営業譲渡)や会社分割により買収しようとする場合は、詐害行為取消権や否認権の問題が発生しますが、これらに対する対応方法ついては、別途解説いたします。

赤字会社や債務超過会社そのものを株式譲渡などにより買収する場合はどうでしょうか。

買主候補企業としては、上記のとおり、企業価値が存在するのかを慎重に判断するほかありません。企業価値やシナジー効果が存在しないにも係わらず、高値でM&A買収してしまった場合、買主候補企業としては、「丸損」にならざるをえません。また、M&A買収後に、買収対象会社が想定と異なっていたからと言って、売主に対して、表明保証違反の補償請求をしようとしたとしても、そのような赤字会社や債務超過会社の売主ですから、資力も乏しく、表明保証違反の補償請求をしても無駄でしょう。

⇒M&A会社売却の留意点・問題点を見る!

ですので、赤字会社や債務超過会社のM&A買収については、デューデリジェンス(DD)は必須ということとなります。慎重にデューデリジェンス(DD)をすることにより、買収対象会社に企業価値が存在するのか、シナジー効果は存在するのか、事前に検証し、これが無い場合は、潔くM&Aから撤退するしかありません。

赤字会社や債務超過会社ですので、ただでさえ問題が山積みですので、そういう理由からもデューデリジェンス(DD)しないのは自殺行為です。間違えて企業価値やシナジー効果が存在しない赤字会社や債務超過会社をM&A買収してしまったら、その会社は、毎月のように、貴社が金融支援しなければならず、貴社の財政を圧迫してゆくこととなるでしょう。

民事再生や私的整理をしてもらうことも選択肢

赤字会社や債務超過会社をM&A買収するのでしたら、まずM&A買収前に、その買収対象会社に民事再生手続きを申し立てて頂き過剰債務を削減してもらうとか、私的整理をしてもらい過剰債務をカットしてもらうということも選択肢です。

現在においては、民事再生手続きにおいても、私的整理手続き(中小企業再生支援協議会や事業再生ADRその他の手続き)においても、このような過剰債務を削減したうえで、買主候補会社がスポンサーとして赤字き会社や債務超過会社を買収する方法は一般的になっています。

買主候補企業がスポンサーになるのであれば、破産ということにはならないでしょう。

過剰債務が削減された後の買収対象会社は、M&A買収に適した状態になっているはずであり、企業価値もそれなりに回復することとなります。また、赤字会社や債務超過会社にありがちな、潜在債務もきれいになっているはずです。裁判所などの手続きの過程でそのあたりが整理されるからです。

ただ、民事再生手続きによって過剰債務が削減されるとしても、そのような赤字会社や債務超過会社の企業価値については、時価純資産法の観点からはゼロ以上となるにとどまり、収益還元法(DCF法)の観点からもプラスになっているとまでは言えませんので、やはり、デューデリジェンス(DD)が必要ということとなります。また、民事再生手続きをスームーズに進めるため、企業価値が、時価純資産法の観点からもマイナスなのに、手続きをしてしまっているかもしれません。いずれにしろデューデリジェンス(DD)が必要なことに変わりありません。

私的整理においても、法的手続きを避けたいがため、私的整理手続きで少しでも過剰債務をカットしたいがため、企業価値が、時価純資産法の観点からも、収益還元法(DCF法)の観点からもマイナスにとどまっているのに、手続きを進め完了させてしまうことも多くあります。いずれにしろデューデリジェンス(DD)が必要なことに変わりありません。

すなわち、赤字会社や債務超過会社のM&Aにも豊富な経験を有しています。赤字会社や債務超過会社のM&A方法としてどのような方法が良いのか、どの手続きが最善か、これらの諸般の事情を考慮して、検討することが重要です。

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    ABOUT US
    弁護士土屋勝裕
    弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所、ペンシルバニア大学ウォートン校留学、上海市大成律師事務所執務などを経て事務所設立。400件程度のM&Aに関与。米国トランプ大統領の娘イヴァンカさんと同級生。現在、M&A業務・M&A法務・M&A裁判・事業承継トラブル・少数株主トラブル・株主間会社紛争・取締役強制退任・役員退職慰労金トラブル・事業再生・企業再建に主として対応
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